目次
背景
- いつもあまり重要ではない目先の物事に集中してしまう
- 特に、そこでStuckすると、再帰的に問題が発生する
- 問題解決の為の問題解決の為の問題解決などという感じ
- つまり、いつもWayが目的化してしまう
- それによって、時間の浪費をすることもある
- もちろん、それをやり切る事が大切な次の場合もある
- クリティカルパス
- コアコンピタンス
- コントロールが必要な所
- 自分で理解し、自分でやらなければならない事
- ただ、往々にしてそんな事は稀である
- また、他にも簡便な道があったりする
- また、経験上、今は重要だと思えても、実は1年後から振り返ると、全然重要ではなかった事が多い
- そこで、改めてこの目的(Goal)と手段(Ways)の逆転現象(自己目的化)について整理する
定義
自己目的化
- 自己目的化(じこもくてきか)とは、ある目的のために設定した目標や手段、行動などが、いつの間にか目的にすり替わってしまうこと
- 英語ではactivity trapと言う
- 例
- 健康増進を目的として、スポーツ、トレーニングを始めたが、過度に高い目標を設定したり、高強度のトレーニングに夢中になり、体を壊してしまった
手段と目的の意味
手段と目的の基本形は次。 目的が上で手段が下のダイアグラムとして表現される。 手段と目的はニコイチ、DYADである。
その手段と目的は別の手段となり、それが連鎖する。
目的とは、次の式で表される。
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英語での手段と目的の違い
英語で言うと次の違いがある。
- 目的:Purpose
- 目標:Goal、Milestone
- 方法:Ways、Method
- 手段:Means
手段の目的化の原因
手段の目的化の原因としては、次のような原因が考えられる。
- 全体像把握の欠落
- 例えば、なぜその作業が必要なのかのを理解していないことによって発生
- 単純に上位レイヤーの目的を理解していない事が多い
- 短期記憶の限度
- 例えば、問題解決の為の問題解決の為・・・と掘り下げると発生
- 問題解決の為の調査に時間や短期記憶を使うので結局目的を失念する
- サンクコスト
- 例えば、ある課題解決に3h費やしたので、元に引き返せないパターン
- これはプライドというか躍起になっている事にも関連する
解決方法
グラレコ
- 最初は、ロジックツリーを書いて可視化する
- 俯瞰して見るため、目的と手段を明確にして、整理する
トラバース
- 視座を上げたり他の方法を考えたり、縦と横にロジックツリーを広げる
- 1つの方法に拘らないで、大局的に考えて、柔軟に目的達成することに拘る
アドバイス
- また、依頼者や上長に報連相してコミュニケーションを取る事も大切
- 他には、専門家にフィードバック(ダメだし)をもらって多角的に修正することも重要
柔軟な考えではない例
ドリルがほしい客
ドリルがほしい客がドリルがほしいと思い込む事。
- ドリルを買いに来る客はドリルがほしくてドリルを買いに来るのではなく、飽くまでも欲しいのは「穴」
- もっと言うと、その「穴」もまた何かの手段であり、別の目的がある
- どの次元まで見えているかで意味が変わる例
ルンバを作れなかった
日本人がルンバを作れなかったのも1つの例。
- 「日本人にルンバは作れなかった」ロボット先進国としての危うい現状 | 日刊SPA!
- 日本人の思考は具体・細分化方向には進む
- 最初の着想概念から目的や原因などの抽象方向へは遡らなかった
- 楽に掃除をするという目的(抽象)方向に思考が行かなかった例
ロウソク問題
人間の機能的固着(Functional fixedness)を示す例。
- コルクボードの壁にロウソクを固定し、点火する問題
- ただし、ロウソクがテーブルに滴り落ちてはいけない
- 道具は以下
- 1束のマッチ(a book of matches)
- 1箱の画鋲(a box of thumbtacks)
- 実験をした結果、ロウソクを画鋲で壁に固定しようとしたり、箱を使わなかった
- つまり、道具の機能というbiasがかかって柔軟な発想がなくなるパターン
NIH症候群
プライドによる自前主義の一例。
- Not Invented Here Syndrome.
- 特定の組織や国が外部の発明やアイデアを採用することに対して抵抗を示す心理現象
- 自組織や自国で開発されたものに対して過度に偏った好意を持ち、外部の発明やアイデアを不当に低く評価する傾向がある
- イノベーションや進歩の妨げになると言う事
柔軟な考え方の例
ジュガール
いわゆるバンドエイドソリューションの事。
- インドのジュガール(Jugaad)も1つの例
- ざっくり言うと、最低限の道具や材料でとにかくどうにかして問題を解決すると言う事
- 別の言い方だとHack、コロンブスの卵敵なソリューション
- 固定観念にとらわれず、コスパ・タイパ良く目的を達成する手法
ワンパス
完璧に作るより簡易に作る方が大切。
- ソフトウェア開発での用語
- ワンパスを通すとは、必要なモノを最低条件で作る意味
- 細部に拘らず、スタートからゴールまで1つのpathを通して形を作る事が大切と言う意味
- 別の言い方だと次がある
- Done is better than perfect
- 完璧主義やプライドを捨てる
- つまり、一度骨組みや骨子を作った後に、肉付けを行う
コード設計
ライフサイクルの長さによってメンテナブルに書くかを分ける。
- 検証用コード
- ライフサイクルは短い
- 故に殴り書きやべた書きのコードでOK
- 基幹システム
- ライフサイクルは長い
- 故にDDDなどでアーキテクチャを設計して書く
その他
NASAの清掃員
有名なNASAの清掃員の話。これは目的意識の大切さの話。
- ケネディ大統領がNASA宇宙センターを訪問したとき
- ほうきを持った用務員の男性を見つけて、何をしているのかと尋ねました
- 男性はこう答えました。「大統領、私は人類を月に運ぶ手伝いをしています」
まとめ
- 総じて目的達成(結果)が大切
- 視座を高くして目的を設定する
- 全ては手段にしか過ぎない
- プラグマティックに
- もしくは、マキャヴェリストに
“The great end of life is not knowledge but action.” ── Thomas Henry Huxley, English Biologist
参考文献
- 2.2.1 ロジックツリーの種類 – ロジカルシンキングことはじめ
- TreeViews-概要 ツリーによる見える化の効果とは?
- 「手段が目的化」してしまうシンプルな原因|播磨 直希
- spacetime - Visualizing gravity in 3D - Physics Stack Exchange
- 「日本人にルンバは作れなかった」ロボット先進国としての危うい現状 | 日刊SPA!
- 「ドリルではなく穴を売れ」は不十分 顧客を理解する西口式発想法:日経クロストレンド
- 完璧主義者の欠陥はつまるところ自己愛性非行動主義 │ ズームブログ|デザイン戦略のアレコレ
- Jugaad - Wikipedia
- ロウソク問題 - Wikipedia
- How to Clearly Break Down Your Goals Using a Goal Tree
- Traverse (climbing) - Wikipedia
- What is a Goal Tree? | Chris HOHMANN
- 目的と手段がときに入れ替わるのはなぜか?【目的・手段・目標の意味とその違い/自分の仕事を振り返るリスト付き】 | GLOBIS 知見録×学び放題