目次
背景
- クリエイティブな思考法が欲しかったので第一原理思考を調べたメモ
- 特に、イーロンのfrom the first principlesが頭に残った
第一原理
第一原理思考とは
- 第一原理思考とは「類推ではなく第一原理から推論する」こと
- あるプロセスを、「真実であるとわかっている基本的な部分にまで煮詰め(boil down)、そこから構築していく行為」の事
- 別の言い方だと、現在の仮定を特定し、それを基本的な真実に分解してゼロベースで解決策を作成する方法
- 類推(reasoning by analogy)ではなく、推論(reasoning by first priciples)をする事
第一原理とは
- 第一原理とは、それ以上推論することができない基本的な仮定の事
- 物理学でいう、エネルギー保存則のようなFirst Principleの事
- アリストテレスは第一原理を次のように定義した
- 「the first basis from which a thing is known(物事が認識される最初の基礎)」
前提と仮定
- 第一原理を探す方法は、デカルトではないが、疑い得るすべてのことを疑うアプローチが必要
- つまり、最終的に、完全に疑いの余地のない真実と見なせるものだけが、第一原理という事
- ただし、第一原理思考では、実践的には極限まで単純化する必要はなく、1つか2つ深く考えればいい
推論と類推
人々は類推で生きている
- 人間は、機能を予測して形を捨てるのではなく、現在の形を予測する傾向にある
- 分かりやすいのが次の疑問
「空飛ぶ車はどこにあるか?」
- 往々にして人々は「空飛ぶ車はない」と答える
- しかし、答えは「飛行機」と呼ばれるもの
- 人は形(車のように見える飛行物体)にこだわりすぎて、機能(飛行による輸送)を見落とてしまう
- つまり、「人々はよく類推で人生を生きている」という事
- 人間の思考プロセスは慣習や過去の経験との類推に支配されている
推論の類推ベース
「どちらも別の事物から、ある事物を推し量る」という意味では共通しているが、次の違いがある。
- 推論
- 「基となる事実からある事物を推し量る」こと
- 類推
- 「似た事物からある事物を推し量る」こと
つまり、「推し量る」ための根拠が異なっている。
推論思考 vs. 類推思考
- 推論
- 基本的な事実や原理から始める
- これらの基本原理から論理的に推論を積み重ねていく
- 既存の考え方にとらわれず、根本から問題を考え直す
- ある意味、非常識であり、素直であり、前提を疑う事がベースにある
- 類推
- 既知の事例や経験を基にする
- 似たような状況や問題に当てはめて考える
- 過去の成功例や失敗例を参考にする
- ある意味、先入観、習慣、常識がベースにある
前例をベースに固定概念から考えるのが、類推かもしれない。
- 「これまでずっとそうしてきたから、そうしよう」
- 「誰もそんなことをしたことがないから、それは良くないに違いない」
分からない事は類推になる
- 第一原理の前提は科学知識やデータして事象を観察することが大切
- 科学的な知識や事実を知っていれば事物をある一般的な現象だと理解できる
- 科学的に事物を正しく理解しないと、そもそも正しい推論ができない
例
- 雷が鳴る => 天が怒っている
- 月が常に同じ顔を見せる => 地球が中心だ
シェフ vs. コック
シェフはレシピを考えるが、コックは作業をするだけ。
- シェフ
- シェフは第一原理から考える(推論する)
- シェフにとって第一原理とは生の食べられる材料
- 新しい方法なのでレシピが存在せず、試してtrial-and-errorでレシピの仮説検証を行う
- コック
- 他方、コックは、すでに存在しているものを類推する
- つまり何らかのレシピ、試してみて気に入った料理、誰かが作るのを見た料理などを基にして作業する
- レシピは既にあるのでそれをTTPするだけ
第一原理思考の実践
第一原理思考の例
- スノーモービル
- OODAループで有名なジョン・ボイド大佐の第一原理と推論で考えてイノベーションを思いつく思考実験がある
- 例えば、スノーモービルは次のパーツから組み合わせて作れる
- モーターボート
- 軍用戦車
- 自転車
- 活版印刷
- 推論による発明の有名な例は、ヨハネス・グーテンベルクが発明した印刷機
- 最初の活版印刷機は次を組み合わせて活版印刷機を作った
- ワイン製造に使われるスクリュープレス
- 紙
- インク
- ちなみに、出版社のPressも、圧搾機(Pressing Machine)がベースにある
第一原理で考える方法
- シンプルに考えたい事の例や過去事例ではなく、原理原則から考える
- 例えば、AIに考えたい事の原理原則を聞いたり、いくつかの本で学んだ原則原則を基に考える
- 他の表面的な現象を真似するのではなく、深層にある原理原則から推論する
- 数学手で言えば、ユークリッド原論の公理から推論するようなもの
- ここでポイントは自分の中にある当たり前の前提や思い込み、先入観を疑う事
- 類推は常識などの前提を捨て、仮定ではなく、第一原理のようなな原理原則をベースに考える
まとめ
- 第一原理思考は類推ではなく推論する思考法
- 物理学のように「第一原理からの推論」をする事
- 他の言い方だと、分析・統合をする事
- Boil down to fundamentalsという事
参考文献
- 知識構造 - CODAworx
- Elon Musks’ “3-Step” First Principles Thinking: How to Think and Solve Difficult Problems Like a Genius | by Mayo Oshin | Mission.org | Medium
- DIKW pyramid - Wikipedia
- First Principles: Elon Musk on the Power of Thinking for Yourself
- First principle - Wikipedia
- ワイン作りから「印刷機」が生まれた?! 【Gutenberg】 | Kazuのかんたんドイツ語 【文法・語法・会話】
- OODA ループと IDA サイクルについて - 防衛研究所
- 理解・分解・再構築 - 井戸端
- The Cook and the Chef: Musk’s Secret Sauce — Wait But Why
- Elon Musk: Tesla, SpaceX, and the Quest for a Fantastic Future: Vance, Ashlee: 9780062301239: Amazon.com: Books
- 推論と類推の違い - koushisa
- This Is the Mindset That Makes Elon Musk So Incredibly Successful | Inc.com
- ティム・クックが経営において重要視する「レーザー・フォーカス」(laser focus)とは? | ライフハッカー・ジャパン
- Cook vs. Chef - What’s The Difference (With Table)
- What the Hell is First Principle thinking that can solve any problem? - techovedas