目次
背景
- 最近Extropyという言葉を知ったので、それ関連の言葉の意味のまとめ
- 分野的には、未来学に当たるのかもしれない
Extropy
- ExtropyはTranshumanismの哲学の一種
- 意味は、「生命または組織システムの知性、機能的秩序、活力、エネルギー、生命、経験、そして改善と成長への能力および推進力の度合い」の事
- マックス・モアが意味を定義した哲学的な造語
- Entropyの対義語としても使用されている
Extropy関連の語族の意味:
- Extropy
- the extent of a system’s intelligence, information, order, vitality, and capacity for improvement
- Extropians
- those who seek to increase extropy
- Extropianism
- the evolving transhumanist philosophy of extropy
効果的利他主義と効果的加速主義
- 効果的利他主義(EA: Effective Altruism)
- EAとは、根拠と理性に基づいて他人のためになることを考え、行動することを提唱する哲学的・社会的運動の事
- 効果的加速主義(e/acc、イーアック)
- 技術革新(特に人工知能によって推進される)が、貧困、戦争、気候変動といった人類普遍の問題の解決策になると考える主義
TESCREAL
TESCREAL(テスクレアル)は以下の7つの思想のバンドル。
- Transhumanism(トランスヒューマニズム)
- 遺伝子操作やサイバネティクス(動物と機械についての制御と通信の総合的研究)などを利用し、人間は生物学的な限界を超えられる・そうすべきだという思い
- Extropianism(エクストロピアニズム)
- トランスヒューマニズムの一派で、知性や寿命、人間の無限の可能性、幸福を増大させるためにテクノロジーを利用することを提唱する
- Singularitarianism(シンギュラリタリアニズム)
- AIの進歩が人間の理解力や制御能力を超えて加速し、巨大な知性を持つ技術的特異点(シンギュラリティー)が生じると予想すること
- Cosmism(宇宙主義)
- ロシア発祥の哲学的・文化的運動で、宇宙空間の探査と植民地化、人類と宇宙とのつながりや、地球外生命体と知性の可能性を受け入れる世界観
- Rationalism(合理主義)
- 信仰や伝統、直感ではなく、理性と論理、証拠を、知識や真理の第一の源泉とし、意思決定において感情や主観的な経験を最小限に抑えるべきだとする哲学的信念
- Effective Altruism(効果的利他主義)
- 貧困や病気など他者の生活を改善し、人々の苦しみを減らすために、エビデンスと理性を用いて、最も効果的な方法を特定する社会運動
- Longtermism(長期主義)
- 現在の目先のニーズよりも、長期的な未来と将来の世代の幸福を優先する考え方
Longtermism(長期主義)
- Longtermismとは、未来の世代に対する倫理的な責任を重視し、現在の行動が将来の膨大な時間スケールに与える影響を考慮しながら意思決定を行う哲学や価値観の事
- 倫理学や未来学の分野で議論されており、気候変動や技術の進展、核戦争など、長期的なリスクへの対応に焦点を当てている
- 今いるヒトが上のグラスで、なくなった人が下のグラスにいる砂時計の画像
- 過去から現在、そして未来への命の連鎖を繋がりを示している
- ホモサピエンスの時代は20万年であり、累計で人は1000億人いた
- 現在100億人近くいるため、上のグラスには100億で、下のグラスには1000億人となる
- すなわち、砂時計はまだ始まったばかりかもしれない
- 一つの▽が7.9 billionで、過去これまでたったの、14▽(1000億人程度)しか人はいなかった
- しかし、太陽系が終焉するまで50億年があり、80万年生きるとしても、12,572▽が生まれる
- 人口のピーク予測に基づき、人類の人口は110億人で安定すると仮定
- また、平均寿命は88歳と仮定
- 110億人 / 88年 = 年間出生数は約1.25億人と仮定する
- 1.25億人 * 80万年 = 約100兆人(100,000,000,000,000人)
- 約100兆人 / 7.9 billion人 = 12,658▽となる
- つまり、人類の歴史はまだ始まったばかりであり、未来は長いという事
- ちなみに、人類(ホモ・サピエンス)の起源は約20万年前なので、その4倍の80万年も特段根拠のない数字ではない
- 太陽は50億年は持つと言われているが、現実的に地球にいられるのは10億年と言われる
- そう考えると、80万年の1,250倍最大いられる可能性がある
- 少なくとも、20万年のホモサピエンスの歴史と過去の人類の総数から人類史はまだ始まったばかりである
シンギュラリティ
- 技術的特異点とも呼ばれ、人工知能(AI)やその他の先端技術が急速に進化し、人間の知能や能力を超える転換点を指す
- この概念は、技術革新が指数関数的に進むことで、予測不可能な変化や社会構造の大幅な変動を引き起こす事
- 数学者ヴァーナー・ヴィンジ(Vernor Vinge)が1993年に提唱したものが現在広く知られているモノの基礎となっている
Plurality
- 台湾のオードリー・タンが定義した、Singularityの対義語にあたる言葉
- 技術特異点(シンギュラリティー)という一つのポイントに向かうのではなく、技術をうまく活用しながら多様な未来に向かう事を意味する
- 暗号通貨に発する分散技術やg0vのような分散型ガバナンス、オープンソースとコラボレーションの思想が根底にある
トランスヒューマニズム
- 人間の能力や経験を技術的手段によって拡張・向上させることを目指す思想や運動のこと
- 遺伝子工学、ナノテクノロジー、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、サイボーグ技術(人体と機械の融合)などの先端技術を活用する
- 似た言葉としては、ポストヒューマニズム、Humanity Plusなどもある
散逸適応
- エネルギーの散逸(ディシペーション)とシステムの適応(アダプテーション)を組み合わせた概念
- 特に生命や複雑なシステムがエネルギーを効率的に利用しながら環境に適応するプロセスを指す
- あるシステムにおいてエネルギーをより効率的に拡散させられる「もの」をより優遇
DissipativeとReplicativeな系とは?
- Dissipative(散逸的)系
- エネルギーや物質を環境と交換しながら、秩序だった構造を自発的に形成・維持する系
- 例:生命体、ベナール対流など
- Replicative(複製的)系
- 自己を複製する能力を持つ系
- 例:DNAの遺伝子情報、細胞分裂など
生命システムではDissipativeな性質(代謝)とReplicativeな性質(複製)の両方が不可欠。
思想家
- Max More
- Extropyの哲学的意味を定義した哲学者、Futurist
- FM-2030(Fereidoun M. Esfandiary)
- トランスヒューマニズムの先駆者であり、自己の身体をサイボーグ化することを提唱
- レイ・カーツワイル
- 技術的特異点(シンギュラリティ)の概念を提唱し、AIの発展による人類の進化を予測
- ニック・ボストロム
- 超知能や人工知能の倫理について研究を行った、オックスフォード大学の哲学者